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ボリュームの動的プロビジョニング(Dynamic Volume Provisioning)
ボリュームの動的プロビジョニングにより、ストレージ用のボリュームをオンデマンドに作成することができます。
動的プロビジョニングなしでは、クラスター管理者はクラウドプロバイダーまたはストレージプロバイダーに対して新規のストレージ用のボリュームとPersistentVolume
オブジェクトを作成するように手動で指示しなければなりません。動的プロビジョニングの機能によって、クラスター管理者がストレージを事前にプロビジョンする必要がなくなります。その代わりに、ユーザーによってリクエストされたときに自動でストレージをプロビジョンします。
バックグラウンド
ボリュームの動的プロビジョニングの実装はstorage.k8s.io
というAPIグループ内のStorageClass
というAPIオブジェクトに基づいています。クラスター管理者はStorageClass
オブジェクトを必要に応じていくつでも定義でき、各オブジェクトはボリュームをプロビジョンするVolumeプラグイン (別名プロビジョナー)と、プロビジョンされるときにプロビジョナーに渡されるパラメータを指定します。
クラスター管理者はクラスター内で複数の種類のストレージ(同一または異なるストレージシステム)を定義し、さらには公開でき、それらのストレージはパラメータのカスタムセットを持ちます。この仕組みにおいて、エンドユーザーはストレージがどのようにプロビジョンされるか心配する必要がなく、それでいて複数のストレージオプションから選択できることを保証します。
StorageClassに関するさらなる情報はStorage Classを参照ください。
動的プロビジョニングを有効にする
動的プロビジョニングを有効にするために、クラスター管理者はユーザーのために1つまたはそれ以上のStorageClassを事前に作成する必要があります。StorageClassオブジェクトは、動的プロビジョニングが実行されるときに、どのプロビジョナーが使用されるべきか、またどのようなパラメーターをプロビジョナーに渡すべきか定義します。StorageClassオブジェクトの名前は、有効なDNSサブドメイン名である必要があります。
下記のマニフェストでは標準的な永続化ディスクをプロビジョンする"slow"というStorageClassを作成します。
apiVersion: storage.k8s.io/v1
kind: StorageClass
metadata:
name: slow
provisioner: kubernetes.io/gce-pd
parameters:
type: pd-standard
下記のマニフェストではSSDを使った永続化ディスクをプロビジョンする"fast"というStorageClassを作成します。
apiVersion: storage.k8s.io/v1
kind: StorageClass
metadata:
name: fast
provisioner: kubernetes.io/gce-pd
parameters:
type: pd-ssd
動的プロビジョニングの使用
ユーザーはPersistentVolumeClaim
リソース内でStorageClassを含むことで、動的にプロビジョンされたStorageをリクエストできます。Kubernetes v1.6以前では、この機能はvolume.beta.kubernetes.io/storage-class
アノテーションを介して使うことができました。しかしこのアノテーションではv1.6から廃止になりました。その代わりユーザーは現在ではPersistentVolumeClaim
オブジェクトのstorageClassName
を使う必要があります。このフィールドの値は、管理者によって設定されたStorageClass
の名前と一致しなければなりません(下記のセクションも参照ください)。
"fast"というStorageClassを選択するために、例としてユーザーは下記のPersistentVolumeClaimを作成します。
apiVersion: v1
kind: PersistentVolumeClaim
metadata:
name: claim1
spec:
accessModes:
- ReadWriteOnce
storageClassName: fast
resources:
requests:
storage: 30Gi
このリソースによってSSDのような永続化ディスクが自動的にプロビジョンされます。このリソースが削除された時、そのボリュームは削除されます。
デフォルトの挙動
動的プロビジョニングは、もしStorageClassが1つも指定されていないときに全てのPersistentVolumeClaimが動的にプロビジョンされるようにクラスター上で有効にできます。クラスター管理者は、下記を行うことによりこのふるまいを有効にできます。
- 1つの
StorageClass
オブジェクトをdefault としてマーキングする - API Server上で
DefaultStorageClass
管理コントローラーを有効にする。
管理者はStorageClass
に対してstorageclass.kubernetes.io/is-default-class
アノテーションをつけることで、デフォルトのStorageClassとしてマーキングできます。
デフォルトのStorageClass
がクラスター内で存在し、かつユーザーがPersistentVolumeClaim
リソースでstorageClassName
を指定しなかった場合、DefaultStorageClass
という管理コントローラーはstorageClassName
フィールドの値をデフォルトのStorageClassを指し示すように自動で追加します。
注意点として、クラスター上では最大1つしかデフォルト のStorageClassが指定できず、storageClassName
を明示的に指定しないPersistentVolumeClaim
は作成することもできません。
トポロジーに関する注意
マルチゾーンクラスター内では、Podは単一のリージョン内のゾーンをまたいでしか稼働できません。シングルゾーンのStorageバックエンドはPodがスケジュールされるゾーン内でプロビジョンされる必要があります。これはVolume割り当てモードを設定することにより可能となります。